概要

グラウンドアンカー

グラウンドアンカーとは、地すべり土塊の地山や、橋台・岸壁の構造物などにプレストレス(=事前に加える抵抗力)を与えて、それらの安定化対策に用いるものです。外力がアンカーのプレストレスを超えない限り、地すべり地山や構造物の変位をゼロに保ちます。

グラウンドアンカーは、テンドン(PC鋼より線束)・頭部・自由長・アンカー体の部位から構成されます。頭部のテンドンは、定着具で受圧体に定着し、頭部との正対側のアンカー体は、テンドンがグラウトを介して地盤に固着しています。その間の自由長は、テンドンがシース被覆で伸縮可能状態です。

本構成により、頭部でテンドンを緊張・定着することで、定着具とアンカー体間にプレストレス(アンカー力)が作⽤します。なお、アンカー体では、プレストレス(アンカー力)がテンドン・グラウト・地盤の3層2界面でせん断伝達する複合的な挙動になります。アンカー引抜抵抗は、この挙動を適正に評価して設計する必要があります。

   
法面安定対策の例
抵抗方向が外力とほぼ同方向であり、経済的に抵抗力を付加できる合理性があります。
用途

のり面の安定や、橋台・擁壁・岸壁構造物・建築物などを補強するための工法です。

部材

アンカーは、テンドン・頭部・自由長・アンカー体の4部材で構成されます。

プレストレス材

テンドン(tendon)と呼び、PC鋼より線束を用います。PC鋼より線の素材は、高級鋼材のピアノ線(JIS G 3502)が用いられ、PC鋼棒やワイヤーロープにはない高応力化適用での高い品質向上がなされています。

弘和産業はさまざまなグラウンドアンカーを設計し販売しています。

   


適用事例

土木 のり面・斜面対策

のり面・斜面が自重や地下水の力で崩れ落ちないように、グラウンドアンカーを設置します。

切土のり面の安定化切土のり面の安定化
湛水斜面の安定対策擁壁の安定
湛水斜面の安定対策湛水斜面の安定対策
大規模地すべりの抑止大規模地すべりの抑止

土木 橋梁下部工・ダム・半地下構造物

グラウンドアンカーは橋梁やダムに使われています。橋梁は100年間の耐久性を要求されており、EHDアンカーは同じように100年の耐久性があります。

橋台の耐震化橋台の耐震化
山岳橋台の安定化山岳橋台の安定化
ダムの耐震化ダムの耐震化
半地下構造物の浮力対策半地下構造物の浮力対策

港湾・海洋 岸壁構造物・防波堤・防潮堤・風力発電構造物

グラウンドアンカーは港湾構造物・海洋構造物の対策に使用されています。

ブロック岸壁の耐震化ブロック岸壁の耐震化
嵩上げ岸壁の耐震化嵩上げ岸壁の耐震化
ケーソン岸壁の耐震化ケーソン岸壁の耐震化
矢板岸壁の安定矢板岸壁の安定
防波堤の機能強化防波堤の機能強化
防潮堤の機能強化防潮堤の機能強化

建築 建築物・塔状の縦長構造物の適用事例

高層建築物は用地の有効利用の観点から、鉛直のグラウンドアンカーを用いて補強されます。

建築物の耐震化建築物の耐震化
レーダー塔の耐震化レーダー塔の耐震化
レーダー塔の耐震化風力発電塔の安定化

土工構造物の安定対策

アンカー⼯法の選定は、本⼯法の特性・特⻑を考慮し、対象構造物・適⽤環境・地盤条件・適⽤必要抑⽌⼒・設計アンカー⼒・アンカー⻑・メンテナンスを含めた経済性などを考慮した検討を⾏って適正に実施します。

土工構造物の安定対策工

土工構造物の安定対策工


土工構造物の安定対策工の概略比較

土工構造物の安定対策工の概略比較


アンカー工とボルト補強工の概念

アンカー工とボルト補強工の概念


製品例

EHDアンカーHP工法

EHD

EHDアンカーHP工法は、従来アンカーの頭部耐久性の弱点であったグリース充填と背面止水構造をなくし、新構造の透明キャップグリースレス定着具、およびプレート止水構造の採用により、安全性・耐久性・ライフサイクルコスト(LCC)経済性を優れたものにしています。

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EHDアンカー

EHD

EHDアンカーは、高い耐食性のエポキシ樹脂を充填・被覆し、被覆厚 400μm以上かつピンホールゼロの付着型ECFストランド(土木学会指針)を使用して、構造物対策用途として供用100年以上の超高耐久性を有します。

アンカーキャップの接続部・アンカー頭部止水具の接続部・自由長とアンカー体の境界という3接続部は、水圧1.0MPa(水深100m)の耐水圧性という超水密性を確保しています。アンカー力の増減調整は最大級であり、さらに目視管理型のヘッドキャップの採用によって内部状況を可視化でき、維持管理性に優れます

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KPアンカー

KP

KPアンカーは、アンカー体部をKPシースにより覆ったカプセルタイプのアンカー工法で、簡素な構造でありながら水密性付着特性に優れています。

本製品の活用により維持管理が容易となり、品質・施工性・ライフサイクルを含めた経済性の向上が見込めます。

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